アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 9 March 2011

アニマル・スピリット

企業の成長は何によってもたらされるのでしょうか?技術や資金や人材、そして情報は欠かすことの出来ない要素ではあるのですが、ではこの条件を満たせば必ず成長をするかといえば、あながちそうとも言い切れません。

ケインズはその著“雇用、利子、および貨幣の一般理論”でアニマル・スピリットの重要性を説いています。経済活動を進ませるには、合理的な理由だけでなく合理的には説明できないアニマル・スピリットのような心理が重要ということです。この精神は開拓者精神であり、挑戦心でもあります。

最近はこのアニマル・スピリットが日本では影をひそめ、草食系男子などが話題になっています。私が米国で勤務していた頃、当時のソニーの経営者である盛田社長が来られ社員を集めて会社の状況を説明する中で、“ソニーは予想以上に大きく成長し今後は日米貿易摩擦解決などにも積極的に役割を果たしたい”というような主旨の話をされました。私はこの“予想以上に”という言葉が妙に気になりずっとその真意が分からなかったのですが、今思うと盛田さんは旺盛な開拓精神をお持ちだったが、その成長はいつまでに何割伸ばすとか、そんな予想や統計ではなく常にチャレンジ精神のみが先行し、気が付いたらこんなにも成長できた、これはまさに驚きであるというアニマル・スピリットそのものであったように思われるのです。

最近は企業の成長戦略が詳細なデータや情報による裏付けにより立てられ実行されるケースが多いものの、このアニマル・スピリットがやや不足しているようにも感じられます。やみくも突き進むことが良い訳ではありませんが心の中にアニマル・スピリットの火を絶やさないことが今後の躍進には求められていると感じます。
(鶴見)

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