アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Friday 16 April 2010

最後は理屈じゃないよ


今年のマスターズは近年まれに見る素晴らしい大会でした。タイガーのツアー復帰から始まって、ワトソン&カプルスのベテラン、ポールター&ウエストウッドのイングランド勢大活躍と盛沢山の内容でした。そして最後はフィル・ミケルソンの大爆発で優勝、18ホール脇でエイミーとしっかり抱き合った彼の頬には一筋の涙が・・・。私まで感動のあまり泣けてきました。

ミケルソンは過去3度のメジャーチャンピオンに輝く実力者でありながら、プロゴルファーの中でも一二を争う人気を誇ります。人柄もよくファンサービスも熱心であれば、単なる「いい奴」で終わってしまいます。ところが彼の場合は理屈を超えたハートから沸きでてくるプレーがファンを魅了して尽きません。アーノルド・パーマーやセベ・バレステロスがそうだったようにです。特に土壇場に立った時、思い切ってリスクをとる姿に感動するのは私だけではないと思います。

今回は最終日パー5の13番ホール2打目が彼の真骨頂でした。1打差でリードしたテーショットを林に打ち込み、残りピンまで207ヤード。ところがグリーン手前にはクリークが走り、ライはパイン・ニードル。おまけに隙間はあるもののボールは木の後ろに止まってしまうという状況です。普通だったら現在の順位を考えてもフェアウェーに出す安全策を選択するところです。彼なら3打目で寄せてバーティーを取るのも難しくないはずです。反対に失敗すればパーどころかボギーでトップに並ばれてしまいます。多分ニック・ファルドなら間違いなくレイアップしていたでしょう。ところが彼は木と木の隙間が充分であると判断すると、迷いもせずに6番アイアンを抜いて渾身の一振り。半ヤードでクリークを超えたボールはピンから4フィートに止まったのです。

ゴルフは人生における様々なことを教えてくれます。非常に重要なビジネスの決定においても最後は”Go with what your gut says.” なんですね。理屈ではなく、こういう勇気のある姿に人たちは感動し、惜しみない称賛を与えるものです。 (西川)

Thursday 15 April 2010

グローバルリーダーと言葉

ある英国人マネジメントX氏とは同じ職場で働きました。彼は有名な英国の一流大学を卒業したエリートです。英国では政治家や大企業のトップにこの有名校の卒業者が名前を連ねているのはめずらしくありません。彼らは言葉使いさえ違うと言われる上流社会、いや支配階級の人間です。言葉使いで出身校が分かるとは我々日本人には理解しがたいものがありますが、X氏はシャープでしかも弁舌もさわやか、いかにも典型的な英国人マネジメントです。しかし彼一流の英国ジョークは難解、加えてその皮肉たっぷりな言い回しで特に日本人は苦労したものです。X氏が英国国内ビジネスを担当していた頃は相手が英国人で、さほど問題ではなかったようですが、欧州全体や日本本社を相手にするグローバルなポジションにつくと状況は違います。周りが彼についてゆけません。彼は孤立しリーダーシップを確立できずに会社を去ることになってしまいました。もちろんX氏は言葉だけの問題で失脚した訳ではありません。

しかし、この件でグローバルリーダーになるには明快な言葉で様々な国の人を説得する能力が不可欠であることを学びました。英語は今日、欧州で、いや世界中で誰しもが使うビジネスの公用語となっています。昔フランス人はほとんど英語を話さなかったと聞きました。話せても話さなかったと言う人もいます。今英語の達者なフランス人やドイツ人はめずらしくありません。欧州内で各国の人間が一同に集まり英語で会議をする機会も増えました。インターネットは英語の世界です。英語が不可欠であることは言うまでもありませんが、同時に英語がネイティブな英国人や米国人は英語国でない人にとって分かりやすい英語で話す重要性を理解しないと逆効果となります。しかも英国は米国と比べて文化的、歴史的に言語がリッチなだけに陥りやすい落とし穴があるように思います。


それぞれの文化と歴史を持ち多様な意見を持つ故欧州内でコンセンサスを得るのは大変です。彼らをいかに理解しまた対等に議論するのか。日本人赴任者のなかには赴任期間中は日本人との接触がほとんどで英語を話す機会が少ない人もいます。しかし欧州地域ほどグローバルなリーダーとしての訓練に適した地域はないと言って言いすぎではありません。英語を臆せずに堂々と話し、違った意見を持つ様々な国の人を説得する能力を磨く絶好の機会だと思います。皆様のご意見をお待ちしています。
(鶴見)

Tuesday 6 April 2010

ドメスティック産業のグローバル化

海外で暮らす日本人は様々な不便を感じています。アパートに入居すれば電話、電気などの生活インフラが整わず問題があれば希望の日時に来てくれないなどで、これが日本ならと愚痴の一つも出るものです。先日はイースターのお休みにロンドンへ出る電車に乗りましたが、普段の日よりダイヤが大幅に短縮されて不便を感じました。乗客は普段よりもずっと多く、それでも誰も文句を言っている風には見えません。英国は産業革命で生活インフラも先進国トップであった筈なのにいつの間にか二流国になり下がってしまいました。電車の駅や路線はゴミだらけ。それでも誰も気にしていないようです。
そこで今日は我が日本の素晴らしい社会生活インフラ、コンビニ、安全/安心を海外に売り込めないのか、という話です。これ等は皆国内産業です。私の友人であるセコムUKの社長は日本モデルを英国でも浸透させることで活躍しています。よく日本のサービスは過剰で海外では必要ないという意見も聞きますが、それは正しくありません。日本の輸出を牽引してきたグローバル製造4業種(自動車、電機、鉄鋼、一般機械)は日本の全産業の三分の一以上の利益を稼いでいますが、製造業のシェアーは毎年下降線を辿っています。この分野で働いてきた自分にとって日本のグローバル製造業の復活を祈らざるを得ませんが容易ではありません。しかし、単純に日本のドメスティック産業をグローバル化するのも多くのチャレンジが待ち受けています。最近は幾つかの会社のトップが市場を海外に求める方向を打ち出しました。

デフレの中、国内の激烈なコスト競争でどこの会社も苦しんでいます。半世紀以上前にソニーの盛田さんは大手電機メーカーがひしめく日本ではなく海外に市場を求めました。国内産業をどうグローバル化するのか?世界における日本の経済的地位が低下し活力を無くした日本を引っ張る第二、第三の盛田さんは必ず出てくると信じています。企業も国も大きなビジョンと夢を描き働く人をやる気にさせること。特に若者に希望を与え、若者も自立の精神で上を目指すこと。これが次の時代のグローバルリーダーを作る道と考えます。せっかく良い技術やサービスを持っているのに今のままでは宝の持ち腐れです。ある人は日本で第二に高い山の名前を言ってみろ、と聞いたら答えられる人は少ないだろう。誰でも富士山がNO.1と知っている。第二以下は皆同じ。だからNO.1にならないと駄目なんだと。日本のドメスティック産業をゴローバル化し世界NO.1にする夢。チャレンジする価値は十分あると思いませんか?皆さんのご意見をお聞かせください。
(鶴見)