アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 24 August 2011

日本人社員のための研修を企画しました

9月30日(金)と11月3日(木)にパフォーマンスアップ異文化マネジメント研修1日コースを企画しました。定員それぞれ15名ですので、ぜひリンクをご覧の上、早めにお申し込みください。

当日は英国ニュースダイジェスト好評連載中の「グローバル人事の波」、「四海波静か」の筆者、安高純一と鶴見道昭がコーチを勤めます。それぞれ30年にも及ぶ日本、海外でのマネジメント経験をベースにより実践的な内容となっています。赴任前にトレーニングが充分受けられなかった、あるいは部下、同僚の現地人が自分の言うことを聞いてくれない、といった悩みをもっていらっしゃる方には是非参加いただきたいセッションです。

皆様のご参加、お待ちしています。詳しくは西川(info@acrossassociates.com) まで連絡ください。(西川)

Sunday 21 August 2011

社員の尊敬を集めた井深さん

これまで会社のトップが新製品の開発に重要な役割を担ったケースはめずらしくありません。最近ではアップル社のスティーブ・ジョッブスもその一人で、彼は大きな夢の持ち主と言われています。

一昔前ですがソニーがカラーテレビを開発するにあたってトップの井深さんは「後発メーカーのソニーが今から他社と同じようなテレビを開発しても意味がない。世の中がアッと驚くようなテレビを作ろう」と技術陣に夢を語られました。こう言われた技術陣は大いに張り切り全く新しいカラーテレビの開発に取り組みました。技術陣のモチベーションはカラーテレビにイノベーションを起こすことでした。しかし、その道のりは険しく製品化したクロマトロンという方式のテレビは明るさでは素晴らしかったものの故障も多く“苦労マトロン”と言われたそうです。しかし失敗は成功のもと、トリニトロンという新しい方式が開発され大成功を収めました。井深さんの夢をかなえるという技術陣の情熱が実を結んだのです。

ではこのようにトップの意思が全員に伝わり大きな力を生みだした裏には何があるのでしょうか?井深さんは会社の創業者でありご自身も技術者として発明特許なども取られています。夢があり技術が分かるトップでしたがただそれだけではなかったのです。ではそこに何があったのでしょうか?それは井深さんが厳しい中にも温かい人間性を持ち合わせ誰からも深い尊敬の念を集めていたという事実です。そんな井深さんに喜んでもらいたい、これが技術陣の頑張りの裏にあったのです。私も井深さんのお話を聞く機会が何度もありましたが、その飾らないお人柄と深い人生観にいつも感動したものです。心の通ったリーダーシップが今企業に求められているように思います。(鶴見)

この記事は人材紹介会社センターピープルが英国ニュースダイジェストに掲載した「三角波シリーズ・四海波静か」より抜粋しました。

Tuesday 9 August 2011

会社の寿命と自家中毒

一昔前「会社の寿命30年説」というのがありました。現在はもっと短いかも知れません。あくまで平均値ですが企業が市場から退場させられた主な理由は「環境変化の対応能力」と言われています。事業や組織を変えなくてはいけないのに変えないとか変え方が悪い、といったことです。しかしソニーの創業者の盛田さんは常々こう言っておられました。「会社が倒産する一番の原因は外部要因より内部要因、つまり自家中毒です」と。盛田さんにしてみれば、環境の変化は当たり前、強力な競争相手との競合も当たり前。それにどう対応するのか、どう競争に勝つかは自分次第で問題はむしろ内部にあると。因みに盛田さんは日本が外資を規制し日本の企業が競争にさらされないことが日本企業にはマイナスであり競争があってこそ企業は強くなる、とも言われていました。

ところが会社は自家中毒に知らず知らずに犯される。私はこれまで何度も海外赴任を終え日本に帰国して間もなくまた現地に呼び戻されました。私が余人をもって代え難いのではなく、現地で内部の問題が起こり修復にかりだされたのです。まさに盛田さんの言われた内部問題が原因で自家中毒を起こしたのです。自家中毒はリーダーシップの不在とか、部門間や個人間のつまらない利権争いなどによって引き起こされます。百害あって一利なしです。他方外部の厳しい環境は盛田さん流には望ましいとも言えます。

ゴルフで惨めなスコアーを出した時、今日は風が強かったのが崩れた原因と言いわけは出来ません。風は誰にも平等に吹き、これを乗り越える技術を持ち良いスコアーでまわった人が勝ちです。むしろ知らないうちに倒産の原因にもなる自家中毒をどう防ぐか盛田さんの忠告に耳を傾けいつまでも若い会社でいたいものです。 (鶴見)

この記事は人材紹介会社センターピープルが英国ニュースダイジェストに掲載した「三角波シリーズ・四海波静か」より抜粋しました。

Thursday 4 August 2011

自分のエネルギー管理を考えよう

我々は、よく「忙しい」という言葉を連発します。しかし、この忙しいという言葉は、「心を無くす」と書くので連発してはいけない、と有名なお坊さんが書いているのを読んだことがあります。我々は、忙しくなると愚痴を言いつつも「時間」で解決しようとしますが、今日は、もっと賢い対処方法を紹介します。それは、我々が持つ「エネルギー」をより上手に使い、ワーク・ライフ・バランスを推進する方法の紹介です。

今年の始め、米国大手映画制作会社の日本支社で「エネルギー・プロジェクト」と題した研修を2週間行いました。米国で流行して最近日本でも注目されている「エンゲージメント(社員のやる気・パフォーマンス)」を高めるもので、どんな環境でも自己最大限の実力が発揮できるようになるために、人間が持つエネルギーの管理方法を見直し、自己分析を通してよりスマートな働き方を見つけることを提案する、参加型研修です。

この会社は、エンターテイメント・ビジネス業界のため、そもそもそこで働く社員がみな元気はつらつと働いていなければ、良い仕事ができるはずがない、という考えが根底にあります。しかし考えてみれば、その考えはどの企業にも通じる課題です。月曜日の朝起きて、「さあ、今週も元気に働こう」と思う社員が50%以上いれば、その会社は、間違いなく発展していくでしょう。

研修では、フル・エンゲージメント(優れたパフォーマンス)を支える源は、「エネルギー」であると説きます。例えば、車のエネルギー源は、ガソリン、ディーゼルや電気ですが、人間のエネルギー源は、「身体、感情、頭脳、精神」の四つの分野から成り立ち、そのエネルギーは、人が考え、感じ、行動することのすべてに影響を与えます。このため、エネルギーをバランスよく管理することが重要であるとし、その方法を教えます。

研修では、優れたパフォーマンスを引き出す鍵は「時間」管理ではなく「エネルギー」管理にあると説きます。フル・エンゲージメントとは、「優れたパフォーマンスを発揮するために身体、感情、頭脳また精神の最適なエネルギー状態」を指します。

要するに、身体のタンクにエネルギーが満ち、感情は前向きで管理できている状態、すなわち身体の「量」に対し、感情は「質」です。頭脳はIQとは関係なく、正しい方向に「焦点」を合わせることができる集中力、また精神は、最も強力なエネルギーで本当に大切なものが何かを自覚している状態です。

大事なのは、各エネルギーは使いすぎても使わなくても無くなってしまうために、エネルギーの消費と回復のバランスをとることが極めて重要です。多くのビジネス・パーソンは、感情と頭脳のエネルギーは酷使するが、身体と精神のエネルギーは、おろそかにして管理不足です。

この研修内容は、世界の頂点に立つスポーツ選手を多数メンタル・コーチングした人が30年以上かけて研究し、ビジネス・パーソンにも適応できるように開発され、何をすれば良いのかを自分たちで答えを導き出す一日研修です。例えば、テニスで言えば、世界の頂点に立つ選手と二番手にいる選手の比較をするとスキル面では、ほとんど差がないにも関わらず、差が出るのは、このエネルギー管理法だと説きます。

ビジネス・パーソンの約40年という長い就業期間を考慮すると、優れたパフォーマンスを持続するには、「マラソン選手」ではなく「短距離選手」のメンタリティを学ぶことが必要です。要するに、長時間だらだらとやるより、全速力で走れる短期目標の策定を上手にすることです。そのため、各短距離競争で優れたパフォーマンスを引き出すためには「有限の時間管理」でなく、「無限のエネルギー管理」に注力する方がはるかに有効であると教えます。

F1で優勝するためには、戦略的に効果的・効率的ピット・インが必要です。人間も定期的整備と給油が必要です。要求が厳しい仕事をしている人ほど必要です。まじめな人の本能として、ニーズが高まれば高まるほど自分に鞭を打ってがんばってしまいます。これは改める必要があります。人間は生まれながらにして、再生するように作られているのです。

この研修に参加したビジネス・パーソンは、仕事でパフォーマンスを上げ、豊かな人間関係を築き、幸福な家庭生活を送る管理術を学びます。研修終了後、参加した幹部の一人が、「この管理方法は自分だけの知識に留めず、家内や子供にも教えよう」と語っていたのが印象に残りました。(安高)