一昔前ですがソニーがカラーテレビを開発するにあたってトップの井深さんは「後発メーカーのソニーが今から他社と同じようなテレビを開発しても意味がない。世の中がアッと驚くようなテレビを作ろう」と技術陣に夢を語られました。こう言われた技術陣は大いに張り切り全く新しいカラーテレビの開発に取り組みました。技術陣のモチベーションはカラーテレビにイノベーションを起こすことでした。しかし、その道のりは険しく製品化したクロマトロンという方式のテレビは明るさでは素晴らしかったものの故障も多く“苦労マトロン”と言われたそうです。しかし失敗は成功のもと、トリニトロンという新しい方式が開発され大成功を収めました。井深さんの夢をかなえるという技術陣の情熱が実を結んだのです。
ではこのようにトップの意思が全員に伝わり大きな力を生みだした裏には何があるのでしょうか?井深さんは会社の創業者でありご自身も技術者として発明特許なども取られています。夢があり技術が分かるトップでしたがただそれだけではなかったのです。ではそこに何があったのでしょうか?それは井深さんが厳しい中にも温かい人間性を持ち合わせ誰からも深い尊敬の念を集めていたという事実です。そんな井深さんに喜んでもらいたい、これが技術陣の頑張りの裏にあったのです。私も井深さんのお話を聞く機会が何度もありましたが、その飾らないお人柄と深い人生観にいつも感動したものです。心の通ったリーダーシップが今企業に求められているように思います。(鶴見)
この記事は人材紹介会社センターピープルが英国ニュースダイジェストに掲載した「三角波シリーズ・四海波静か」より抜粋しました。
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