アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Monday 11 April 2011

震災時のリーダーシップ

この原稿を書いたのは少し前ですが、原発事故の関連ニュースでがっかりしたことが二つありました。一つは風評被害により茨城沖でとれる魚が全く売れず、漁を中止せざると得なくなったというニュースです。確かにセシウムが規制値を超えたコウナゴは食べられないけど、他の魚は大丈夫とお墨付きが出ている筈です。地震、津波、そして原発事故と三重苦を強いられている人を何故皆は見捨てるのですか?誰だって汚染されているかも知れない魚は食べたくはない。でも何故、農水産省の大臣でも首相でもカメラの前で「皆さん、全ての魚が汚染されているわけではありません。このように私も食べています。是非茨城を応援してください」とPRしないのでしょうか?私ならそう言いたい、そして買います。 もう一つは福島原発で「低レベル放射性物質」を含む汚染水を海へ放出したことで、全漁連の会長が東電本店を訪れ、同社の会長に放水を止めるよう求める抗議文を手渡したニュースです。「漁業関係者に何の相談もなく大量放水を実行する暴挙に出た。無責任な対応に計り知れない強い怒りを抱いている」(4月6日付け日経新聞)。当たり前ですね。確かにより深刻な事態を回避するにはこれしかなかったのでしょう。であったとしても何の事前の説明や相談もなく実行し、もっといけないことは東電のトップが全漁連や茨城に出向き事態を説明し、謝らなかったことです。東電は地元の幹部を差し向けたようですが、抗議文を自社で受け取るのではなく会社のトップが自ら現地に出向かないといけないと思うのです。 ソニーの盛田さんだったらこんな時はどうされたでしょうか?トップが率先垂範でリスクを乗り越える、これしかありません。東北や茨城の被災者を心から救済したいと思うなら、あらゆる手段を使いましょう。小学生から高校球児、そして社会人の若者までが休暇を使い現地で懸命にやっている姿に感動し涙した方も多いと思います。国や企業のトップのリーダーシップが今問われていると思いました。 (鶴見)

Wednesday 6 April 2011

「復興」にあたって

東日本大震災は歴史的に稀にみる大災害でこれからの復興には長い時間と心のケア―が必要と思われます。まず瓦礫を片付けるといっても思い出が沢山つまった崩壊した家を簡単にブルドーザーで除去することにやり切れ無さを感じる方もあるでしょう。被災者の気持ちを大切にしながら復興を始めなければなりません。そして多くの方、特にこの被災地に多いご高齢の方は昔の町や村を一刻も早く元の場所に作ることを希望されていると思います。

しかし、この度の地震と津波で、いかに強固な防災施設を作っても海に近い場所に木造の住宅を作ることがいかに危険かを学びました。将来、住宅は海岸に近い平地から高台に移す、港に近い平地には鉄筋の避難場所を兼ねたビルを作るなどの新しい町作りが必要です。昨今、海外では被災された東北の人達の頑張りに称賛の声が上がっています。「頑張れ東北」「頑張れニッポン」。復興の作業がこの「頑張りの精神」で進められて行くことに間違いはありません。

さてここで敢えて今後のチャレンジを指摘しますと、一方で昔からの村や町を以前のように作りたい希望がある反面この機に将来再び起こるかも知れない災害に強い新しい町作りをしたい。この二つをどう整合性をとるのでしょうか?グランドデザインを描き未来型の新しい町や村の建設をするなら今しかありません。傾いた会社も再建復興を目指すなら部分的な手直しをするのではなく、将来の全体像を描くことから始めなければならないのと同じです。日本人の長所は目先の困難を乗り越える我慢強さであり、頑張りのきく勤勉性です。しかし、この強さのために、長期的ビジョンを忘れ、瓦礫を片付け元の場所に元の家を作ることが始まるとこの災害を転機にする絶好の機会を逸することにならないでしょうか?遠くから被害を受けた方々の物心両面に受けた深い傷を本当に理解していない者が簡単に言うべきことではありませんが、この傷が癒えない前に皆が考えるべきこととして書いてみました。(鶴見)