アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 6 April 2011

「復興」にあたって

東日本大震災は歴史的に稀にみる大災害でこれからの復興には長い時間と心のケア―が必要と思われます。まず瓦礫を片付けるといっても思い出が沢山つまった崩壊した家を簡単にブルドーザーで除去することにやり切れ無さを感じる方もあるでしょう。被災者の気持ちを大切にしながら復興を始めなければなりません。そして多くの方、特にこの被災地に多いご高齢の方は昔の町や村を一刻も早く元の場所に作ることを希望されていると思います。

しかし、この度の地震と津波で、いかに強固な防災施設を作っても海に近い場所に木造の住宅を作ることがいかに危険かを学びました。将来、住宅は海岸に近い平地から高台に移す、港に近い平地には鉄筋の避難場所を兼ねたビルを作るなどの新しい町作りが必要です。昨今、海外では被災された東北の人達の頑張りに称賛の声が上がっています。「頑張れ東北」「頑張れニッポン」。復興の作業がこの「頑張りの精神」で進められて行くことに間違いはありません。

さてここで敢えて今後のチャレンジを指摘しますと、一方で昔からの村や町を以前のように作りたい希望がある反面この機に将来再び起こるかも知れない災害に強い新しい町作りをしたい。この二つをどう整合性をとるのでしょうか?グランドデザインを描き未来型の新しい町や村の建設をするなら今しかありません。傾いた会社も再建復興を目指すなら部分的な手直しをするのではなく、将来の全体像を描くことから始めなければならないのと同じです。日本人の長所は目先の困難を乗り越える我慢強さであり、頑張りのきく勤勉性です。しかし、この強さのために、長期的ビジョンを忘れ、瓦礫を片付け元の場所に元の家を作ることが始まるとこの災害を転機にする絶好の機会を逸することにならないでしょうか?遠くから被害を受けた方々の物心両面に受けた深い傷を本当に理解していない者が簡単に言うべきことではありませんが、この傷が癒えない前に皆が考えるべきこととして書いてみました。(鶴見)

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