アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 28 July 2010

オフィスを見ればマネジメントがわかる

私の自宅からロンドンまでNational Railで30分。60歳以上の特典Freedom Passのお陰で朝のラッシュを除けば電車は無料でよく利用しています。駅に着くとまず目に入るのがそこらに散乱する読み終わった新聞とペットボトル。同じく電車の車内もゴミだらけ。日本では「読み終わった新聞は棚に置かずにお持ち帰りを・・」と車掌さんがアナウンスしていましたが、そんなレベルではありません。座席、床かまわずちらかり放題です。特に夕方の電車がひどいです。乗車する人も別に気にはしていないようです。イギリス人は公共の乗り物や道路をゴミ箱と同じと思っているのかと疑いたくなります。あれほど美しいEnglish GardenやParkを持つ国民が何故車内のゴミに関して無頓着なのか?読者でこの理由をご存知の方がおられれば教えてください。

ゴミと言えば最近は紙の情報が少なくなった為かオフィスに書類の山を築いている人は昔より少なくなったようですが以前私の日本人上司であった何人かの方のオフィスをご紹介します。A氏―オフィスの中は書類に溢れ何冊もの本やレポートが机の上に無造作に積み上げられていました。しかし、ご本人は何の情報はどこにある、と全て分かっておられたようです。B氏―やはり多くの書類が机や棚の上に置かれていましたが、A氏と違い書類は全てファイルに入れられ整理されていました。C氏―机の上にファイルも紙も殆どありません。書類は目をサッと通して全て秘書さんに渡したのか、捨てられたのかどちらかでしょう。

さてこれからは私の想像です。何の科学的データもないので内容に責任は持てませんがこの情報の保持、処理の仕方とマネジメントのスタイルに関連性があるように思うのです。A氏は卓越した知識を持ち人間味溢れるスーパーマネジメント、人との話を大切に詳細まで解析をする方です。あらゆる情報に精通しています。B氏は頭も超明晰で判断もはやく理論だった話は群を抜いていました。当然関連書類が必要な時にはサッとファイルが出てきます。C氏は優先順位が低いものなどは全て部下にまわしご自分はコレと思うものだけを処理する割り切りの早い率先即決タイプです。余計な情報は目もくれず、紙情報などは自分で持たないタイプです。私はと言えば未処理の案件に関する書類が机の上に積み上がるタイプで情報の管理がヘタクソです。さて皆さんはどのタイプですか?そして身の回りの整理具合はいかがでしょうか?情報が紙の時代のお話ですがご容赦ください。
(鶴見)

Wednesday 21 July 2010

トップの姿勢

日本の財政はこのままでは破綻が目に見えています。財政の再建を日本の緊急課題と考えるのは当然です。今回の参議院総選挙で消費税増税を打ち出した民主党が大敗を喫しましたが、では国民は大半が消費税の値上げに反対かと言えばそうでもなく、意見が二つに割れている状況です。問題は増税前にやることがあるのではないか、という議論です。まずは税金の無駄使いをなくす。同時に経済成長を促す。企業が効率をあげコストを削減し成長戦略を実行するのと同じです。

さて国でも企業でも再建に重要と思われるポイントを一つ述べたいと思います。それは国であれば為政者、企業であればマネジメントの姿勢です。首相は言うに及ばず議員、官僚、企業の社長からマネジメント全ての人までが再建がもたらす「苦しい改革」をまずは自ら身をもって受け入れることです。定員の削減、給料の見直し、その他いままで当たりまえと思われた各種のフリンジベネフィットも見直しが必要です。国の救済を求めるGMの幹部が議会公聴会に出席するのに社用機を使ったことが問題視されました。たとえ社用機の使用でいかに効率をあげられても、国の税金で救済する会社のトップが社用ジェットでj議会に乗り込むのでは国民の賛同が得られないのは当然です。

私も欧州でリストラをやりましたが、今思えば立派すぎた個室などを変えなかったことを後悔しています。日本の選挙民も増税の話を始める時に贅沢な議員会館が出来ては本気度を疑います。皆が身を切る前に上に立つ人がまずは率先して模範を示す必要があります。その額は決して大きくなくとも影響は大です。人は誰でも自分に不利なことはやりたくありません。自らが辛い思いをする政策には誰もが反対します。しかし残念ながら国や会社を良くするにはトップを含めて全体が痛みを感じないと達成できません。国や企業の再生を果たすにはトップの強い思いと自らを厳しく律する覚悟と実行力があってこそ、全体が納得して動き始めることと思います。日本の財政再建もまったなし。その為には為政者の姿勢がまずは問われると考えます。
(鶴見)

Monday 12 July 2010

マネジメントの退場

金融庁は2010年3月期から1億円以上の報酬を得ている役員の氏名と金額を個別に開示するよう上場企業に義務づけました。金融危機を境に株主による経営監視が厳しくなっていることを受けて財務状況にそぐわない「お手盛り支給」を一掃するのが狙いのようです。これについては国内でも賛否両論があるようですが、今回はマネジメントの給料について考えてみたいと思います。

一般社員に比べてマネジメントの給料が高い欧米ですが、その理由の一つに経営責任を負うことでHigh Risk, High Returnが背景に考えられます。経営の結果によっては解雇されるケースが前提にあります。その理由が何であれ、結果責任を問われるということです。日本では違法性などよほどの理由がなければ業績問題でトップが突然クビになるケースはそれほど多くはありません。交代の多くが在職期限や年齢などが理由です。日本ではそれほどの高給が支払われないのもある程度納得できますが、それにしても欧米との差が大きすぎるように感じます。

私は欧州部門のトップだった頃、何人かのマネジメントに代わってもらいました。私が問題視したのは業績だけでなく、組織の硬直性や人材の活性化にありました。官僚的なマネジメントスタイルで他の部門とのコラボレーションも進まず若手も伸びていません。評価の全てが数字化されている訳ではありませんが、しかし総合評価をするとどうも交代してもらうだけの理由があると考えたのです。さて給料の問題に戻りますが、このようにあるレベル以上のマネジメントはその理由が何であれ交代させられるリスクがあることで、高い給料もそれなりの理由があります。一方一般社員のリストラもやむを得ず実行しましたが、多くの場合個人のパーフォーマンスとは関係ありません。どちらのケースでもそれなりの正当な理由と決められたプロセス、そして適切な処遇が必要であることは言うまでもありません。解雇や交代が正しかったかはその後の結果で判断されます。交代人事が恣意的で後釜の人選で一層事態が悪くなるようなら、それこそそれを決めたトップがクビになるのが当然と考えます。現実は任命責任を負うトップが少ないのが問題と思うのですが。
(鶴見)

Wednesday 7 July 2010

貴方ならどうしますか?

昔アメリカで働いていた頃、私はあるアメリカの大手企業への大規模なシステムの売り込みに奔走していました。ようやく30歳を過ぎセールスもまだ駆け出しの頃です。オフィスはサンフランシスコ、ソニーアメリカの一支店です。競合相手はやはり日系企業で製品の品質はともかく、価格面ではかなり差をつけられ厳しい状況でした。

そんな中、ある日突然日本から電話が入りました。会社のトップ、盛田さんご自身でした。「私はそのアメリカ企業はトップを含めて良く知っている。大変重要な案件なので是非成功して欲しい。」会社のトップから直接電話を受けてビビりましたが一層頑張ったものです。盛田さんの経営スタイルは部下を叱咤激励し率先垂範でやられる非常なアクティブなものです。当時はパソコンもまだなかったので主なコミュニケーションは電話です。このように重要と思われることは中間にいる部下を飛ばして直接担当者に電話をされることはめずらしくありませんでした。残念ながらこの商談は負けて結果は盛田さんを失望させることになってしまいました。直接お叱りは受けませんでしたが、この件は今でも忘れられません。

その後この“中間部下飛ばし”とは別の経験をしました。そのマネジメントにある日直接担当者から相談があったようです。そのマネジメントは担当者にまずはあなたの直接の上司に話なさい、ということで終わったようです。自分が直接担当者と話をしては中間の管理職の人の立場がない、ということでしょう。部下を育てるのは我慢も必要とよく言われます。しかし担当者が直接自分の上司を越えて相談を持ちかけるのは、それなりの事情があったことと察しがつきます。
このようにマネジメントのスタイルは人によりケースによっても異なります。しかし常に企業内のランクを重んじていては風通しのよい企業風土は作れません。担当者が事情を最もよく知っています。現場からの重要なインプットを大切にして時には現場へのダイレクトの指示を出すことも大企業病に陥らない第一歩とおもいます。この使い分けが上手にできるか否かがマネジメントに試されているような気がします。
(鶴見)