アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Monday 12 July 2010

マネジメントの退場

金融庁は2010年3月期から1億円以上の報酬を得ている役員の氏名と金額を個別に開示するよう上場企業に義務づけました。金融危機を境に株主による経営監視が厳しくなっていることを受けて財務状況にそぐわない「お手盛り支給」を一掃するのが狙いのようです。これについては国内でも賛否両論があるようですが、今回はマネジメントの給料について考えてみたいと思います。

一般社員に比べてマネジメントの給料が高い欧米ですが、その理由の一つに経営責任を負うことでHigh Risk, High Returnが背景に考えられます。経営の結果によっては解雇されるケースが前提にあります。その理由が何であれ、結果責任を問われるということです。日本では違法性などよほどの理由がなければ業績問題でトップが突然クビになるケースはそれほど多くはありません。交代の多くが在職期限や年齢などが理由です。日本ではそれほどの高給が支払われないのもある程度納得できますが、それにしても欧米との差が大きすぎるように感じます。

私は欧州部門のトップだった頃、何人かのマネジメントに代わってもらいました。私が問題視したのは業績だけでなく、組織の硬直性や人材の活性化にありました。官僚的なマネジメントスタイルで他の部門とのコラボレーションも進まず若手も伸びていません。評価の全てが数字化されている訳ではありませんが、しかし総合評価をするとどうも交代してもらうだけの理由があると考えたのです。さて給料の問題に戻りますが、このようにあるレベル以上のマネジメントはその理由が何であれ交代させられるリスクがあることで、高い給料もそれなりの理由があります。一方一般社員のリストラもやむを得ず実行しましたが、多くの場合個人のパーフォーマンスとは関係ありません。どちらのケースでもそれなりの正当な理由と決められたプロセス、そして適切な処遇が必要であることは言うまでもありません。解雇や交代が正しかったかはその後の結果で判断されます。交代人事が恣意的で後釜の人選で一層事態が悪くなるようなら、それこそそれを決めたトップがクビになるのが当然と考えます。現実は任命責任を負うトップが少ないのが問題と思うのですが。
(鶴見)

1 comment:

  1.  企業役員の報酬について一言申し上げます。

     日本企業と外国企業における役員報酬額は一般的に外国企業のそれの方が高いといわれていますね、これは文化的な相違と生活環境の違いが原因している様な気がします。

     さらに言うならば個人資産はある程度の高になればその人は社会還元という事を考え実行する文化を持っていると思います。わが国でも社会還元を考えない訳ではないでしょうが、税金の問題が絡み、社会還元をした時予想以上の負担を強いられるのが現状です、したがってこの様な行為をする力が出てこないのも無理からぬところではないでしょうか。

     もうひとつの問題は外国の富豪は自分の資産の使い方を良く知っているのではないでしょうか、お金が貯まれば之をどのように使うか、家を建てる、別荘を作る、世界一周に使う、等々相当のものに消費する事を知っていますが、一方日本人は得てして老後のための貯蓄に回してしまう、今日本では1400兆の個人資産があるといわれていますが、一体之を何に使うのでしょうか、せいぜい子、孫の為に残してやる事が精いっぱいでしょう。

     お金の使い方の問題はさておき、支給される額の大小によって企業運営意識の高低に影響が出るものなのでしょうか、おそらくその高低の差ほどは意識の高低は無いのが本当ではないかと思います。

     殆どの経営者は収入高の喜びを感じて仕事をする人より企業経営の成功に対する喜びを目的として働いている人の方が多いのではないでしょうか、之がいわゆる日本人の企業文化、価値観としての考え方だと思いますが如何。
    (邦)

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