アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 4 August 2011

自分のエネルギー管理を考えよう

我々は、よく「忙しい」という言葉を連発します。しかし、この忙しいという言葉は、「心を無くす」と書くので連発してはいけない、と有名なお坊さんが書いているのを読んだことがあります。我々は、忙しくなると愚痴を言いつつも「時間」で解決しようとしますが、今日は、もっと賢い対処方法を紹介します。それは、我々が持つ「エネルギー」をより上手に使い、ワーク・ライフ・バランスを推進する方法の紹介です。

今年の始め、米国大手映画制作会社の日本支社で「エネルギー・プロジェクト」と題した研修を2週間行いました。米国で流行して最近日本でも注目されている「エンゲージメント(社員のやる気・パフォーマンス)」を高めるもので、どんな環境でも自己最大限の実力が発揮できるようになるために、人間が持つエネルギーの管理方法を見直し、自己分析を通してよりスマートな働き方を見つけることを提案する、参加型研修です。

この会社は、エンターテイメント・ビジネス業界のため、そもそもそこで働く社員がみな元気はつらつと働いていなければ、良い仕事ができるはずがない、という考えが根底にあります。しかし考えてみれば、その考えはどの企業にも通じる課題です。月曜日の朝起きて、「さあ、今週も元気に働こう」と思う社員が50%以上いれば、その会社は、間違いなく発展していくでしょう。

研修では、フル・エンゲージメント(優れたパフォーマンス)を支える源は、「エネルギー」であると説きます。例えば、車のエネルギー源は、ガソリン、ディーゼルや電気ですが、人間のエネルギー源は、「身体、感情、頭脳、精神」の四つの分野から成り立ち、そのエネルギーは、人が考え、感じ、行動することのすべてに影響を与えます。このため、エネルギーをバランスよく管理することが重要であるとし、その方法を教えます。

研修では、優れたパフォーマンスを引き出す鍵は「時間」管理ではなく「エネルギー」管理にあると説きます。フル・エンゲージメントとは、「優れたパフォーマンスを発揮するために身体、感情、頭脳また精神の最適なエネルギー状態」を指します。

要するに、身体のタンクにエネルギーが満ち、感情は前向きで管理できている状態、すなわち身体の「量」に対し、感情は「質」です。頭脳はIQとは関係なく、正しい方向に「焦点」を合わせることができる集中力、また精神は、最も強力なエネルギーで本当に大切なものが何かを自覚している状態です。

大事なのは、各エネルギーは使いすぎても使わなくても無くなってしまうために、エネルギーの消費と回復のバランスをとることが極めて重要です。多くのビジネス・パーソンは、感情と頭脳のエネルギーは酷使するが、身体と精神のエネルギーは、おろそかにして管理不足です。

この研修内容は、世界の頂点に立つスポーツ選手を多数メンタル・コーチングした人が30年以上かけて研究し、ビジネス・パーソンにも適応できるように開発され、何をすれば良いのかを自分たちで答えを導き出す一日研修です。例えば、テニスで言えば、世界の頂点に立つ選手と二番手にいる選手の比較をするとスキル面では、ほとんど差がないにも関わらず、差が出るのは、このエネルギー管理法だと説きます。

ビジネス・パーソンの約40年という長い就業期間を考慮すると、優れたパフォーマンスを持続するには、「マラソン選手」ではなく「短距離選手」のメンタリティを学ぶことが必要です。要するに、長時間だらだらとやるより、全速力で走れる短期目標の策定を上手にすることです。そのため、各短距離競争で優れたパフォーマンスを引き出すためには「有限の時間管理」でなく、「無限のエネルギー管理」に注力する方がはるかに有効であると教えます。

F1で優勝するためには、戦略的に効果的・効率的ピット・インが必要です。人間も定期的整備と給油が必要です。要求が厳しい仕事をしている人ほど必要です。まじめな人の本能として、ニーズが高まれば高まるほど自分に鞭を打ってがんばってしまいます。これは改める必要があります。人間は生まれながらにして、再生するように作られているのです。

この研修に参加したビジネス・パーソンは、仕事でパフォーマンスを上げ、豊かな人間関係を築き、幸福な家庭生活を送る管理術を学びます。研修終了後、参加した幹部の一人が、「この管理方法は自分だけの知識に留めず、家内や子供にも教えよう」と語っていたのが印象に残りました。(安高)

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