アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 15 April 2010

グローバルリーダーと言葉

ある英国人マネジメントX氏とは同じ職場で働きました。彼は有名な英国の一流大学を卒業したエリートです。英国では政治家や大企業のトップにこの有名校の卒業者が名前を連ねているのはめずらしくありません。彼らは言葉使いさえ違うと言われる上流社会、いや支配階級の人間です。言葉使いで出身校が分かるとは我々日本人には理解しがたいものがありますが、X氏はシャープでしかも弁舌もさわやか、いかにも典型的な英国人マネジメントです。しかし彼一流の英国ジョークは難解、加えてその皮肉たっぷりな言い回しで特に日本人は苦労したものです。X氏が英国国内ビジネスを担当していた頃は相手が英国人で、さほど問題ではなかったようですが、欧州全体や日本本社を相手にするグローバルなポジションにつくと状況は違います。周りが彼についてゆけません。彼は孤立しリーダーシップを確立できずに会社を去ることになってしまいました。もちろんX氏は言葉だけの問題で失脚した訳ではありません。

しかし、この件でグローバルリーダーになるには明快な言葉で様々な国の人を説得する能力が不可欠であることを学びました。英語は今日、欧州で、いや世界中で誰しもが使うビジネスの公用語となっています。昔フランス人はほとんど英語を話さなかったと聞きました。話せても話さなかったと言う人もいます。今英語の達者なフランス人やドイツ人はめずらしくありません。欧州内で各国の人間が一同に集まり英語で会議をする機会も増えました。インターネットは英語の世界です。英語が不可欠であることは言うまでもありませんが、同時に英語がネイティブな英国人や米国人は英語国でない人にとって分かりやすい英語で話す重要性を理解しないと逆効果となります。しかも英国は米国と比べて文化的、歴史的に言語がリッチなだけに陥りやすい落とし穴があるように思います。


それぞれの文化と歴史を持ち多様な意見を持つ故欧州内でコンセンサスを得るのは大変です。彼らをいかに理解しまた対等に議論するのか。日本人赴任者のなかには赴任期間中は日本人との接触がほとんどで英語を話す機会が少ない人もいます。しかし欧州地域ほどグローバルなリーダーとしての訓練に適した地域はないと言って言いすぎではありません。英語を臆せずに堂々と話し、違った意見を持つ様々な国の人を説得する能力を磨く絶好の機会だと思います。皆様のご意見をお待ちしています。
(鶴見)

1 comment:

  1.  今日『英語』は殆ど『世界語』として流通していると思います。

     では、それぞれの国語とは一体何なのでしょうか、われわれ日本人は日本語を自分の国の言葉として教育されすべてをこの言語で理解し交流してきました。

     歴史が示すように科学の発達による異文化との交流において他言語の理解が重要な役割を持つようになって以来、それぞれの国は何とか自国語が世界共通語になって欲しいと考え、一時フランス語が文法上一番間違えのない言語、と云うことで(誰も証明出来ていないが)之を世界語として使う時期があったと記憶しています。

     しかしよくよく考えてみると『国』という概念がなくならない以上そこで育った国語と文化は未来永劫に継続するはずです。

     では、今日のようなグローバリゼーションの世界で意思疎通を図るにはどうすればよいのかは、英語なら英語が共通世界語になることは当然だと思いますが、とかく日本人は『語』と云うものの考え方が一つの学問として捉えている人が多いのではないでしょうか、だから人と英語で話す場合も文法的に間違ってはならないとばかりに頭の中で文を構成してそれを口に出すと云う順序を踏む人がいるようです。

     そのような考え方ではなく、会話はコミュニケーションツールであると位置づけるならもっと気楽に外国語を楽しめるのではないでしょうか。

     本文筆者の経験にあるように英国人の貴公子は気位が高く、他を寄せ付けない壁を持っていたが為、他との交流が継続できなかったとありましたが、之はコミュニケーションツールの範囲を超えて、『文化』の範囲にまで日常の会話に持ち込んだという間違いを犯したのではないでしょうか。

     私たち日本人は島国人としての体質を捨て外国語はコミュニケーションツールと割り切って意思の疎通を図ること、同時に相手国人の文化を勉強して相手の思考回路を勉強しておくことが重要だと思います。  (邦)

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