アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 13 May 2010

妥協を知るイギリス人のしたたかさ


いろいろな話題を提供し続けた今回のイギリス総選挙は過去65年で始めての保守党、自由民主党の連合政権誕生という形でドラマティックな決着を見ました。末期症状の労働党は長年のサポーターでもあるガーディアン誌にも見捨てられ、ゴードン・ブラウンの「頑固女」失言でダウン、歴史的な敗北となりました。とはいえ小選挙区制に助けられて労働党は議員数をそれなりに確保し、一方自民党は得票率を当選に反映できなかったのです。その結果、第一党となった保守党が過半数を取れない ”Hung Parliament” となりました。

個人的にはニック・クレイグと彼の率いる自由民主党が今回のハイライトだと思っています。何しろ今まで ”Nick, who?” なんていわれていたほぼ無名の政治家であり、自民党が政権をとることは不可能、と無視され続けてきました。それが史上初めてのテレビ討論会で若々しいルックス(デイビット・キャメロンもそうですが)、信頼感、誠実さを評価され、一躍トップに躍り出ました。そして最後までキャスティングボードを握り、歴史的な政権入りを果たしたわけですから立派なものです。

政治とは大きな命題を解決してゆくものです。個々のマイクロなアイテムに固執していると大きな姿が見えなくなってしまうのです。今回は英国が経済的、軍事的(ちなみに英国は戦時下にありアフガニスタンでは200人以上の戦死者を出しています)な危機にあり、それを乗り越えるために保守、自民がお互いに最大限の妥協をしたわけです。今まで散々罵倒しあっていた二人が急に親友のように仲良くし始めたのを見て、「イギリス人って本当に食えない連中だな。」と思ったのは私だけでしょうか? (西川)

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