アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Tuesday 4 May 2010

マネジメントスタイルの使い分け

国によってマネジメントのスタイルは異なります。欧米では会社のトップや上司が明確な方針を出し、その下で各自が与えられた仕事を実行します。それはあたかもボートのエイトのコックス(トップ)が号令をかけ、漕ぎ手(部下)はそれに従って全力で漕ぐ(仕事をする)のに似ています。一人の優秀な人間が全体を見て状況を判断して指令を出し、それを下の人が実行するシステムです。実際はそれほどシンプルではありませんが原理は同じです。従ってトップマネジメントの優劣が企業の業績に直結します。欧米企業のトップの報酬が飛びぬけて高いと言われますが理由はそこにあるように思います。このシステムの背景には多様な移民で成り立つ欧米と単一民族の日本の環境の違いに原因があるとも言われています。

一方日本ではトップは部下からの信頼が厚いことで選ばれるケースが多いようです。これはあたかも神輿(みこし)の上にトップが乗り、それを部下が担ぐのに似ています。トップは音頭をとりながら全体の調和を保ちます。お神輿は必ずしもボートのように一直線には進みませんが大体の方向は間違わずに進みます。担ぎ手の暗黙の合意のもと、全員参加で神輿はうまく運ばれます。私は英国で働いていた時代、よく日本人赴任者を集めて私が知り得る会社の状況や部門全体の話をしました。(もちろん、これがローカルの人との不平等にならないように人事部門に相談したうえでのことです)。何故なら日本人は一般的に会社や部門全体の動きを知ることが自らの仕事をする上で重要と考えるからです。日本の会社で会議が多くなるのはこの情報の共有とコンセンサス重視に原因があります。

他方現地人は本人個人の権限や責任を重要視しますので、自分に直接関係しない話や会議は基本的には不必要と考えます。以上は日本と欧米のマネジメントの違いのごく一面を表したもので、どちらのシステムがより優れているかは一概には言えません。現地でマネジメントをする上では“スピード感と効率の欧米システム”と“暗黙の合意と調和の日本システム”をよく理解することが重要なことは明白ですが、単純に欧米人には欧米システム、日本人には日本システムを適用するのではなく、この両者を時と場合によりミックスしたり使い分けたりすることが出来れば最高と思います。皆様のお考えをお聞かせください。
(鶴見)

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