アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 16 June 2010

これからのオフィスは?

今回はオフィスについての話です。ずっと以前のことですが、当時アメリカの東部ニュージャージー州にある4階建てのお洒落な自社ビルのオフィスに勤めていました。その地区は高級住宅のある閑静な所で今思えば場所代もかなり高かったろうと想像できます。



マネジメントクラスの人には小さいながら個室が与えられていました。部屋には医者のように、大学のディプロマ、賞状や家族の写真などを飾っている人が多かったようです。一般の人は大部屋に机を並べていましたが、個人の机やファイルは隣とパーティションで区切られています。この仕切りの高さがかなり高くオフィスを見渡しただけでは座っている人の影も形も見えません。一人一人にまるで個室のオフィスで働いているかのような空間が提供されていました。このプライベートな空間を作ることが米国人にとって他人に邪魔されず能率も上がり好まれたものと思われます。(勿論居眠りをしていても分かりません)。



今思えば当時はまだ今日のようにオフィスは静かなパソコン中心の世界ではなく電話や話し声などの喧騒が聞こる場所でした。ある日のこと、東京の本社からこのパーティションを低くして働いている人の顔が見えるように、との指示が出ました。日本のオフィスを知っている赴任者にとっては何の抵抗もありません。むしろその方がオープンな雰囲気もありお互いのコミュニケーションも良くなるように思ったものです。しかしアメリカ人にとってはどうだったでしょうか?



その後様々なオフィスで働きましたが、傾向としてはマネジメントの個室は廃止、または必要最小限、そして外から見えるガラス張り、一般の人のデスクもオープンでパーティションは無く、決まったデスクもない会社もあるようです。また連携すべき部門間に溝がある「サイロ化」の問題がある場合、同じフロアーで隣接させるなどの工夫をしたこともあります。思えば入社当時は大部屋に課ごとの小さなブロックがいくつもあり、お互いに背中がくっつきそうな狭さの中で働いた覚えがあります。違う部署の人も声を出せば届く距離で、改まって会議などやらないでもすぐに意思の疎通が出来ました。現在はPC,携帯電話、TV会議などでコミュニケーションが改善されたかと言えば、必ずしもそうではありません。やはり実際に顔と顔を合わせ、お互いに感情を感じ取る生のコミュニケーションは以前にもまして重要になっています。その意味で「オフィス」の在り方を再考する良い時期だと思います。
(鶴見)

No comments:

Post a Comment