アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Friday 17 September 2010

社内ポリティックス

長年海外で働くと様々な人との出会いがあります。米国で某部門ヘッドであったA氏は相手が日本人であろうがお構いなく機関銃のような早口でしゃべります。長身ですこし背を丸め速足で歩き人懐っこい笑顔が印象的ですが、話はするどく相手に切り込みます。厳しい仕事ぶりでしたが部下からは100%信頼をされていました。彼はある時上司のトップとうまく行かず会社を去ってしまいました。何年か後、同じく米国でセールスのトップに地域で優秀な成績を収めたB氏が抜擢されました。しかし彼も数年後本社での面倒な社内ポリティックスに巻き込まれ結局地元に戻ってしまいました。

この二つのケースは共に特異な出来ごとではありません。しかし、あれだけ信頼の厚かった二人が何故職を離れたのでしょうか?業績が悪くビジネスに失敗したわけではありません。マネジメントとしてそれなりの実績も残してきました。あの二人の性格を思えば社内のゴタゴタが耐えられなかったのでしょうか?仕事は本来お客の為に仲間と汗をかき会社や社会に貢献することです。しかし、単純にモノやサービスを売るだけの仕事からマネジメントになれば仕事はそう単純ではありません。社内の交渉事に時間と労力を費やすことは無駄ではないか?社内ポリティックスも無駄だ、人生は短い、他にも仕事は在る、とA氏もB氏も考えたのかは分かりません。

一般的にマネジメントで仕事の範疇が広がると関係者は増え、改革を実行するとなると利害の対立も生じます。ポリティックスにも巻き込まれます。人事もたいへんです。誰しも仕事は楽しくやりたい。社内の説得よりお客の説得の方が楽かもしれません。しかしマネジメントになれば仕事は複雑化します。社内の無駄なポリティックスは無い方が良いに決まっていますがマネジメントになれば避けては通れません。実際、これまで面倒な社内折衝も含めて、楽しげに仕事をしてきたマネジメントを何人も見てきました。会社を去るのも、仕事を変えるのも一案です。そして社内ポリティックスをものともせず、複雑な仕事にチャレンジするのも選択肢です。最終的に自分の人生は自分で決めるしかありません。
(鶴見)

1 comment:

  1. 「良い職場を得た」「此処こそ自分の人生をささげる所だ」と考えていたのが「他人には言えないけれど矢張り自分を最後まで居させる所ではないな」と云う訳でA氏、B氏共にその職場を去った話、二人とも社内ポリティックスに原因があったと説明されていますが、基本的には間違えはないでしょう、その原因とは一寸かけ離れますが人間生まれて死ぬまでの間、自分が一番やりたいことが一つや二つはあるものでしょう、自分が満足する職場に入ったこともその人にとってはやりたいことの一つだったと思います。

     でも、年がたつとそれがたった一つの目標だったのかを考えなおすと、また別の目標が出てきたに違いありません。

     A氏、B氏もその別の要求が強くなり同時に社内ポリティックスにとらわれて、いよいよ次なる目標に移行していったと考えるのもあながち間違えではないのではと考えます。

     人間だれしも一つの目標の線路に乗って進めればこんな良い事はないでしょう、「役者になるのが自分の目標だ」「物書きが自分の人生だ」と云う訳で最初からその線路一本で全う出来れば一番良いのかもしれません、でも、多数目的で順次その別線に乗って進む満足感、価値観への再認識を持つことこそ「人生を複数に亘って歩く」事の喜びを感じるのではないでしょうか。

     サラリーマン生活から独立生活に身を置き換えた時の満足感、新しい人生で社会貢献、次世代への伝道、今までの環境を種に新しい環境への発芽、これこそ人生にとっての楽しさ、有意義さの結晶以外何者でもないと思いませんか。

     「社内ポリティックス」とはおおよそ話がかけ離れましたが、思いつくままのコメントです。  (邦)

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