アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 2 December 2010

技術立国日本

1960年代にソニーが開発したトランジスタを使った小型VTRに使われた技術が米国アンペックス社の持つ特許に抵触するということで訴訟問題に発展しました。その後問題は解決し家庭用ビデオが誕生、大きな産業となりました。現在日本の特許数はアメリカに次いで2位ですが最近はやや減少傾向にあり、中国や韓国が迫る勢いで伸びています。

以前社内である議論が起こりました。(A)会社は自社で開発する独自技術にあくまでこだわるべき、とする議論と(B)他社で開発する技術を積極的に導入すべき、とする議論です。この議論は単純にどちらと割り切ることは難しいのですが、どちらにしても結論は企業文化に大いに関係しているようです。ソニーはもともとResearch makes the differenceという言葉で企業PRをしたように、独自技術を売りにした会社です。従って他社技術を使ってビジネスを拡大したアップル社などと違い自社で技術を開発することに情熱を燃やす技術者が多いのです。しかし、これは一歩間違えると他社と大同小異の技術の開発に多くの時間とコストをかけるリスクもあります。この反省もあり、最近は他社の技術も積極的に取り入れているようです。

この傾向は日本企業全体にも言えるかも知れません。日本企業は昔から自社の技術や自社のやり方にこだわる傾向があり、これがグローバル競争に後れをとる原因とも言われています。差別化戦略が技術的に困難になってきた状況もあるでしょう。またソフト技術に弱いとも指摘されています。しかし短期的に他社技術に頼っても中長期的には優れた独自技術なしでは厳しいグローバル競争に勝てません。ソニーに限らず日本企業全体が厳しい競争の中で短期志向を強め、世の中をアッと言わせるほどの技術の開発や製品が出てこないとなると世界競争に勝てません。
リストラ、コスト削減、集中と選択などどこの企業も生き残りに大変な努力を払っていますが、価値ある技術は無駄や夢の中で生まれてくるようにも思います。全てをそぎ落とすことをしない経営を望みます。
(鶴見)

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