アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Sunday 14 March 2010

システムビジネスのジレンマ

今回はメーカーのシステムビジネスについての話です。ここで言うシステムビジネスとはハードとソフトが組み合わされソリューションとして提供されるビジネスのことです。私は長らく放送局や企業向け業務用機器のシステムビジネスに携わってきました。例えば放送局のニューススタジオやテレビ中継車などが典型的なシステムビジネスです。このシステムを構成する主要な機器例えばビデオカメラやVTR,モニターなどを自社で開発しこれ等を単品で売るだけでなくシステム化して付加価値を付けることで業界でも1,2を争うトップメーカーとなりました。

自社製品がシステムに組み込まれることで事業部側の売り上げに貢献します。製品はシステム化された時に、互いに連動してうまく作動するように設計されます。これがメーカーのシステムビジネの基本モデルです。これはお客にとってもメーカーにとっても都合の良いモデルですが、ある時一部のお客からこんな声を聞きました。自分たちは特定のメーカーやその製品に囲い込まれたくない。システムの構成は他社製品で自由に代替えできるようなものを提供して欲しい、ということでした。自社にとって都合の良いモデルは必ずしもお客を満足するとは限らないということです。

社内ではこんな議論もしました。“他社製品で構成されるシステムビジネスでは利益がとれず成り立たない”“そもそも自社の製品を有しているメーカーが中立な立場でシステムビジネスをやろうとすること自体現実的なのか?”云々。これはジレンマです。利益相反型のビジネスモデルかも知れません。かつてIBMがハードを売るセールス組織から脱却してお客のベネフィットにフォーカスしたサービス会社に変身しました。我々もここまで割り切るべきなのか?いや、我々はあくまでハードを開発、設計し製品を売る中でのシステムグループだ、システムセールスを「自社製品を売るためのセールスチャンネル」の位置づけは変えずに他社製品へのアクセスも可能にしてお客のベネフィットを最大化しよう。お客を囲い込む戦略からお客のベネフィットを最大化する戦略をとろう。この二兎を追うビジネスモデルは微妙なバランスの上に現在も成り立っているようです。その後この分野にもデジタル化、IT化の波が押し寄せシステムは益々オープンなものになってきました。こんな状況下で「ハードメーカーのシステムビジネス」をどう成り立たせるのか?この問題について皆様はいかにお考えでしょうか?ご意見をお聞かせください。
(鶴見)

1 comment:

  1. 「ハードとソフトの合体がシステムビジネス」と云う事ですが、恐らく50年代にはこの様な考え方、この手法でのビジネスは無かったと思います、45年代にIBMが先立ってコンピュータを世の中に出しだしたころ、ソフトはハードに付属するもの、と云う考え方が主流でしたが、その後は両者が独立して行く様になったと記憶しています。

    今は、確かに云われた通り客はメーカーに取り囲まれたくない、と云う主張がまかり通っていると思いますが、何をするにもどうすれば一番良いか、どの様なハードを使えば目的に合っているか、が判らない為、勢いハード メーカーに頼ってしまうのが常だと思います。

     しかしいざ使ってみると考えていたソフト部分を満足してくれない所が有る事に気付きその不満をハード メーカーにぶつけてくるのではないでしょうか?

     しかも客は最初小さかったものが次第に大型化して市場占有率も高くなり技術的にも高く評価される様になるのが常で、この様になると逆に反対派が顔を出すようになるものです、更にこの反対派が異なった手法で前を行く者を追い越そうとする訳で、この時考える事が、如何に自分に一番都合のよいハード+ソフトか、と言うことでしょう。

     例えば先行したマイクロソフトが最近のグーグルの後塵を拝する様になっているのも同じ現象ではないでしょうか。
      要するに平たく言えば世の中順番に良いものが出て来て人の為になっていると云う事だと思います、決してこの原理原則に逆らわずビジネスに邁進、エンジョイすることが良いのではないでしょうか。 (邦)

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