アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 25 March 2010

盛田さんのリーダーシップ

今回はリーダーシップについての話です。私が人生で最も感銘を受けたマネジメントの一人はやはりソニーの創業者の盛田さんです。(ソニーでは上司を“さん”付けで呼んでいます。)盛田さんのマネジメントについてはこれまで本などで読まれた方も多いと思いますので私はわずかな思い出話をしたいと思います。

私は入社数年で米国に赴任になりました。当時はまだ会社も駆け出しの頃で赴任者の数も限られており私は最年少組の一人でした。盛田さんはよく米国に出張に来られその度にお会いするチャンスがありました。と言うのも私は運転の腕を見込まれて(?)空港にお迎えに上がりホテルまでお連れする役を仰せつかったからです。当時はまだ会社もリムジンなどを手配する余裕はなかったのです。ホテルに着くとせっかくだからと部屋でお茶をご馳走になりお話をする機会もありました。交わした会話は覚えていませんが、一方的な話しではなく、こちらの話もよく聞いていただいた記憶があります。

盛田さんの話し上手は有名ですが、その裏には聞き上手があります。盛田さんは何事にも興味を持たれる方で、そんなことで若手の話も聞いて頂けたのでしょうか。よく相槌も打たれ話し手を充分その気にさせる方でした。今にして思えばご本人はこうして様々な情報を吸収されたようです。「話し手は聞き手の立場に立って話すように。聞き手が納得しないのは話し手が悪い」とまで言われていました。リーダーシップとはこのように話を聞く人の身になって話すことで共感を得ることだと言えます。これは勿論聞き手の耳に心地よいことを話すことではありません。盛田さんの厳しいお話でも聞き手は納得し心を動かされ、行動に変化が起きます。

話は変わりますが、第二次大戦も終局を迎えた頃、硫黄島での戦いで指揮をとった栗林忠道中将は戦いの前に全員の将兵にこう話したと伝えられています。「もし硫黄島が陥落すればここは米軍の恰好な爆撃機の基地になり日本への空爆が一層激しくなる。そうなれば残された家族はじめ多くの人が犠牲になる。その為に我々は無駄な自決をせず最後まで戦うのだ。」実際硫黄島での戦いは壮烈をきわめ、二万人以上の日本兵が命を落としましたが、米軍もそれを上回る二万六千名以上の死傷者が出ました。栗林中将の言葉は全軍の兵士の心に響き、このような戦いになったと言われています。これは決して美化される話ではありませんが、やはりリーダーシップとはこのように聞き手の心に訴えるものがあり、それによって行動が起こされるものと言えます。会社で上司がただ命令を出しているだけではリーダーシップがあるとは言えず行動にも結びつかないでしょう。皆様のご経験はいかがでしょうか?
(鶴見)

1 comment:

  1.  「リーダーシップの高い人は語り上手だ」という意見には大賛成です、さら聞き上手で無くてはならないことも当然でしょう、私の経験では語り上手の人は話の仕方がとても分かり易い言葉を使うと思います。
     
      又、本の場合でも「難しい言葉を使って本を書くのはやさしいが、易しい言葉を使って難しい事を書のはもっと難しい、でも人は易しい言葉で納得する」と言われます。

      ですからリーダーたる人は易しい言葉で話をすることが重要だと思います。   (邦)

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