アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Tuesday 2 March 2010

海外販売体制とグローバルマネジメント育成

今回は海外販売体制とグローバルマネジメント育成についての話です。多くの日本企業は戦後、海外市場に進出する中で当初は現地の販売代理店を活用しましたが、その後直轄の現地法人に切り替えたケースも多かったようです。欧州でも主要国に現地販売会社が設立され欧州本部も設立されました。私が最初に欧州に赴任した当時まだユーロは存在しておらず、各国の販売会社は外貨建ての商品を輸入しローカル通貨で販売をしていました。為替の変動やマージン、オペレーションの違い等で販売会社の実績にも差が生じました。しかし1999年にユーロが誕生すると域内では一物一価になり各国の価格裁量権は無くなりました。また各国に分散されていた機能もshared serviceとして集約され効率化が図られました。今後は更なる変化が予想されます。

さて以上のような海外販売体制の移り変わりはグローバルマネジメント育成にどのような変化をもたらしたでしょうか。まずは代理店時代ですが優秀な代理店にはよく商売に卓越したオーナーがいて若い頃はこんな人から商売の基本を学んだものです。商品の価格交渉などは厳しいが貴重な体験でした。代理店が自社の販売会社に変わると内内の取引となり価格体系も変わります。それでも自前のオペレーションである販売会社としてはかなりの独自性を発揮する余地がありました。販売会社経営はマネジメントトレーニングの最良の場でした。

しかしEUやEuroなどで地域内の均一化、ボーダレス化が進むにつれ国ごとに経営リソースを独自に持ち独立して経営する余地は少なくなります。例えば独自の広告宣伝も限定され欧州内で同一キャンペーンが企画されます。分散投資より集中投資が効果的という訳です。ローカルマネジメントに求められる付加価値は国内のセールス、サービスやブランド作りにシフトされます。海外販売体制の変化と共に現地マネジメントの役割も変化してきた訳です。

そこで問題です。代理店との取引から自社の販売体制に移りそして地域内の統一化が図られ更にグローバル化が進む中で有能なマネジメントをどう育てるのか、という問題です。人の能力は自由な裁量と責任と権限のある環境下でより効果的に開発されると仮定すると、今日のIT情報技術の発達、グローバル市場の変化、更なる地域の集約化が図られる中でグローバルマネジメントを今後どう育てるか一層の工夫と知恵が必要な気がします。新しい環境下では新しいチャレンジがあります。これからのグローバルマネジメントを育成する環境は一昔と大きく違ってきていると感じます。皆様のお考えをお聞かせください。
(鶴見)

1 comment:

  1. 一寸一言コメントさせて頂きます。
    今世界的に進んでいるグローバル化による販売システムが一つの趨勢として説明されていますが、確かに殆んどの商品は地域社会型のそれから世界共通型へと移行し企業自体は成功していると思います。
    ご指摘のEU市場は良く判りませんが、同じような事は日本市場でも可なり前から起こっており、所謂駅前商店街のシャッターはドンドン閉ってゆく傾向にあります、そしてその対立軸に大型スーパーの隆盛が有る訳です。
    この二つにどの様な差が有るのかをみると、前者は地域密着型で価格は多少高いとはいえ売っている人と買っている人の間には人間のコミュニケーションが有った事、後者は買っている人は商品と其価格札を見比べただけで買い、売る人はレジに金を受け取る人だけ、と云う極めて無機的な販売方法である事、の違いだと云う事です。
    物を買う時はたして人間関係は重要なものでしょうか?私はYes と云いたい。
    物を買う時、「あの人のいる所で買いたい」「あの人が勧めるから買いたい」「あの人から買って良かった」この有機的作用が有って初めてその物の価値観が高まるのではないでしょうか。
    シャッターが閉まる駅前商店街、これらはその様な価値観を高めれば十分大型店に対抗できるのでは・・・・。
    つい最近の例で、九州博多のど真ん中にある古くからの商店街が大型店舗の出店に当たって両者の見事なコラボレーションによって今迄にない集客力を誇り、商売も両社とも右肩上がりの上昇を来たしたと報じられていました。(此処はつい一週間前失火により大部分を焼失してしまい、今復興中と聞いています)
    此処で我々に何を教えてくれているのか、それは「人が物をうり、人が人から買うのだ」と云う事ではないでしょうか。
    何となく、前記ご意見との対局、或いは古色蒼然たる価値観、に聞こえがちですが
    人間がこの地球上に現れお互いに足りないものを物々交換し始めてからが出発点である事を忘れてはいけないのだと考えます。
    お粗末な意見で申し訳ありません。(邦)

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