アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Sunday 17 January 2010

ある改革の失敗

前回は赴任者が赴任期間という区切りの中で仕事を完成させることができずに帰国、後に残された人、現地人が苦労するケースをとりあげました。この解決策の一つとして人事は赴任者の帰任を区切りの良い時期にする配慮が必要でしょう。そして何よりも、改革そのものが将来にわたり持続性のあることが大切です。しかし組織や制度が永遠でないことも明らかです。私が勤めた会社でも創業者の「朝令暮改」が有名でした。昔ある人が会社の組織表を作ったら、創業者から、そんなものはどうせすぐに変わる(変える)から必要が無いと言われたという笑い話のような伝説もあります。

さて今回は改革のあるケースについて考えてみましょう。A氏は優秀なオーストリア人で工場運営などに力を発揮してきました。彼を見込んで改革の目玉であるSupply Chain Management(SCM)の旗振りを、任せました。ご承知のとおり、SCMは販売、マーケティング、管理、工場、物流、ISシステムなど広い分野と関わりがあります。しかし残念ながら結果はうまく行きませんでした。理由はこのプロジェクトが彼には向いていなかったということです。彼は工場という自分の組織の中では大変能力を発揮してきましたが、他部門を巻き込みながら、利害の調整をしながらリーダーシップをとるタイプではなかったのです。

いかなる改革でも何よりも他部門との調整が大きなハードルです。誰でも出来るという訳ではありません。しかし、この種のプロジェクトで思わぬ能力を発揮する人がいます。そして何よりもこの経験が将来自らの貴重なアセットとなるように思えます。上の例では私がプロジェクトをよく理解せず、A氏の適応能力を的確に判断していなかったことが失敗の原因でした。皆さんのご経験ではいかがでしょうか? (鶴見)

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