アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 7 January 2010

赴任者の挫折

皆さま、新年明けましておめでとうございます。 Across Associatesの鶴見道昭です。

北米、欧州と海外でのビジネス経験が長く,少しでも皆さまの参考になることがあればと, 思いつくままを書いてみました。今後とも宜しくお願いいたします。

海外で仕事をする人は様々なバックグランドを持っている人が多い。若い頃まだ入社数年で赴任する人(実は自分もそうであった)、留学を経て現地で働く人、かなりシニアになって初めて赴任する人など様々である。昔の話で恐縮だが自分の赴任当時はまだ海外赴任者の数も少なく、見るもの、聞くもの全てが新鮮であった。しかし最近の赴任者はどうもそうでもないらしい。海外の情報は日本にいてもある程度分かる。頭の中では分かっているつもりが実は現実と違ったりするととまどったり、素直に受け入れられない場合もある。企業がすでにある程度ブランドが確立されている場合など若くして赴任しても変に自尊心の高い人もいる。自社の風土を現地人に分からせる、何々ウェイを教え込むなどと力が入る人もいる。最近の赴任者は以前ほどでもないだろうが、一昔は海外赴任者はエリートといわれ、その実力を錯覚をしている人も見られた。実際、現地でやってみると思わぬ困難にぶつかり、鬱になったりするケースもある。

私が若い頃海外に赴任になった「優秀な人材」がいた。彼は将来を嘱望され日本でも上司にかわいがられ本人も意気揚々と赴任してきた。確かに頭も切れるし、日本人の仲間からは一目置かれた存在だった。しかし、現地人には色々な上司がいる。時にはいじめに近いことを平気でやる人もいる。日本本社から来ているからといって、ゴマをする現地人は少ない。フェアーな人でも容赦なく文句を言う。これに対等に意見を言い返すだけのコミュニケーション能力を持っている人は少ない。自分の意見が通らず、相手も他人の気持ちを考えて話す人ばかりではない。彼はとうとう鬱病を発祥し帰国後も治療をすることになった。

ここでのポイントは赴任者があまり情報過多になって現実をみる前に頭がコチコチになったり、エリート意識(本人は自覚しなくても)があったりで挫折する場合はどうしたら良いのだろうか?また以前ほど「赴任」がエリートコースでもなく、本人が赴任を希望しない場合もある。この日本巣ごもり傾向については別の機会に述べるとして、この赴任者の挫折を少しでも減らすことが大切である。尤も、この挫折感こそ将来の成長の糧となることも事実でいちがいにマイナスでもないだろうが。

筆者の経験では赴任当時の上司や周りの仲間から大いに助けてもらった覚えがある。赴任者の悩みは赴任者が一番よく分かる。日本にいる時以上に心が通うものだ。現地人の中にも自分のRole Modelになるような人物に会えるチャンスもある。

昔はノンビリしたところもあり、何よりも成長路線に乗って苦しくとも成果が上がった時代だ。また会社の組織もまだ未完成で様々な経験も出来た。仕事は苦しくても耐える余地はあった。最近の疎外感、先行きの不安、リストラなどの苦しみは以前より厳しい。だから赴任者の心のケアーはより重要になった。そして経験者が与えられるアドバイスはより貴重なものとなった。赴任者もまづは謙虚な気持ちで赴任生活を始めないといけない。赴任経験から得られる貴重な体験は必ず将来生きることに間違いはない。

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