アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Wednesday 18 August 2010

日本企業再生の第一歩

日本製品の強みは高品質。こう言われて日本が急成長を遂げた時代から今世界は大きく変わろうとしています。日本製品の高度な技術と性能そして信頼性は世界の消費者を魅了しました。かつて“Made in Japan”が”安かろう、悪かろう“の代名詞であった時代は今の若者には想像も出来ないでしょう。

しかし最近、この高付加価値戦略に陰りが見え出しました。日本製品の優位性は製品によっては失われつつあります。また主力の輸出相手国は欧米に加え新興諸国が大きなウェイトを占めてきました。そこではボリュームゾーンといわれる低下価格帯商品が主流です。消費者は高機能より実用的な商品を求めています。さて日本企業に秘策はあるのか?

今回は二つの事例をご紹介します。ある時米国でそれまで長年お付き合いいただいた主要顧客が他社製品を大量に買い付けました。理由は他社製品が性能や仕様では劣っていたもののお客の使用目的には充分というものです。”Their products are good enough.”というお客のコメントは今でも忘れられません。当社製品の優秀さは分っているが、そこまで必要はないというものでした。

もう一つの事例はサービスに関するものです。その顧客は日本の大手放送局でした。ドイツ支社で取材用に使っていた当社の製品が故障をしたので当社の現地支店に修理で持ちこまれました。しかしそのスピードや対応に対してクレームがつきました。理由は日本でのサービスのレベルに比べて海外は余りにお粗末ということでした。このケースはすぐに日本人サービスマンを派遣して対処をしましたが、日本のお客様が海外でサービスを受ける時に不満が多い理由はその対応やスピードなどで見劣りするからです。日本人の要求度は現地人よりはるかに高いのが普通です。

さて、事例一では日本製品の過剰な性能、事例二は海外でのサービスに関してのクレームですが、これを通じて感じたことは両事例とも残念ながら「サプライヤーがお客の目線でビジネスをしていない」という事実です。お客の満足度は国民によって異なります。要求も違います。世界を席巻した日本企業に求められるものは、もう一度謙虚にお客様の目線でものを見ることを始めるべきかと思います。これが日本企業再生の第一歩ではないでしょうか?
(鶴見)

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