アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Saturday 7 August 2010

コミュニケーションの基本

ビジネスや家庭におけるコミュニケーションの在り方については多くの人の関心事で、この得手、不得手が成功の鍵を握っていると言っても言い過ぎではありません。さて以前にソニーの創業者の盛田さんのコミュニケーションのセンスについて書きましたが、今回は私が実際に体験したある出来事をご紹介します。

それは業務用に使われるビデオシステムをソニーが1972年に発売した時のことです。私は当時米国でこのシステムの市場導入を担当していました。その為事前に日本で研修を受けるため出張し発表会にも参加しました。そこでは盛田さんご自身がVIPのお客に直接新製品の説明をされていました。入れ替わり立ち替わり来られるお客に何度も同じ説明をされていたようでした。

米国に戻り同じようにVIPをご招待して導入会を催すことになり、私は一つの提案をしました。それはVIPへの説明をより効率的にするため何人かのお客様にまずシステムの基本的な紹介をして、その後個々のお客様をアテンドして詳細を説明するという案でした。基礎的な話は皆さんで一緒に聞いていただく方が効率的と考えたのです。ところが当日盛田さんがこられ、この案は即却下されました。このユニークな説明商品を一方的なプレゼンで理解していただける筈はない、お客様と一対一のコミュニケーションで初めてこの商品のコンセプトを分かっていただけるという理由でした。

確かに説得は相手の反応があって初めて出来るものです。今日もオフィスで、会議室で、家庭で毎日コミュニケーションが行われています。さて果たしてどれだけの人が聞き手の反応を見ながら、聞きながらコミュニケーションをしているのでしょうか?決められた時間と決められたパワーポイントで一方的な話をしても聞き手が本当に納得したか、時には逆効果もあるようですがいかがでしょうか?
(鶴見)

1 comment:

  1. 新しいシステムの販売戦略についての二つの方法を提示されました、一つすは盛田さん自身の方法、もう一つは鶴見さんがより効率的と思われた方法でした。

     そのプレゼンテーションで鶴見さんの方法が却下された事に就いて感想を述べます。

     そもそも新しいシステムのプレゼンテーションは、何も知識のない所を出発点を①とし、そのシステムがクライアントに完全に理解される所を⑩とするならおそらく⑤程度の位置はそのシステムの基本動作が万人共通の知識範囲で多人数が同時に聴いていても理解できるところと考えます。

     さて、問題は⑥から⑩の位置のものに特殊性があり、相手の仕事環境、仕事内容、技術レベル、要求内容によって異なって来るところで、それこそ1対1でコミュニケートしないとゴールに届かないものだと考えます。

     そこで、本文の内容にに戻りますと、確かに鶴見さんが主張しているものは出来るだけ時間を節約してしかも出来るだけ大勢の人達への目的を達成出来る様にと考えられた手法で、その事自体は全く間違いないと思います。

     ただ、この手法の欠点を指摘できる所は①から⑤迄行かないうちに⑥以降の問題に入りたがる人が出てもおかしくなく、むしろこの辺からのコミュニケーションが難しくなるのではないでしょうか。

     この様な状態になった場合は矢張り盛田さんの手法がより早く、より確実にゴールに届くことが出来るのでは、と思います。

     理論的には鶴見手法の方がより効率的であると云う事は間違いないと思われますが、『急がば回れ』の諺の如く盛田手法にゴールに入る確実性にやや歩がある、と云うのが私の意見です。 (邦)

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