アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Saturday 20 February 2010

改革のチャンス

今回はあるローカルのトップマネジメントについての話です。Aさんはある事業部門のヘッドを勤め実績を残し昇進を重ねてついに販売会社全体のトップに昇りつめました。ところが、結果はうまく行かず2年も経たないうちに交代となってしまいました。さて今回はこのケースについて考えたいと思います。

Aさんの事業部門(仮にX事業部門とします)は売上、利益とも全体の中では主流ではありません。そして他の事業部門とはビジネスモデルにかなりの違いがありました。それは中央集権型の組織体制です。大きなポリシーは日本の本部で決定され指示され販売会社はそれを着実に実行します。一方他の事業部門ではポリシーの決定権はローカル、例えば欧州本部や国の販売会社にあります。社内ネゴに時間がかかりますが会社の設立時から長らく続いた社内ポリシーです。

この状況下でAさんは着任早々このポリシーの見直しを行いX事業部門で行われていたやり方を実行しようとしました。何かの折につけ、X事業部門ではああしていた、こうしていたと口癖のように言っていたようです。しかも彼はかなりのマイクロマネジメントで細かいことにも口を出していたようです。ある人は彼を皮肉交じりに「係長」と呼んでいたほどです。Aさんの交代の原因は、彼が昔の事業部門のビジネスモデルを押し付け、しかもマイクロマネジメントであったからでしょう。

しかし、もし彼が卓越したリーダーであれば会社は新しいビジネスモデルをその時に採用していたかも知れません。実際、社内の小さな事業部門が実行しているやり方が実は今の時代、次の時代に最もフィットしたやり方というケースはあります。逆に言えば、会社の本流出身の人は従来のモデルを踏襲する故、抜本的改革が遅れることもあります。Aさんの場合は不幸にもマイクロマネジメントで失格になりましたが、同時に会社は新しいビジネスモデルに変える良いチャンスを逃しことにもなりました。会社を変えるには会社の主流にいない人の方が実現できる場合があります。それはルールブレイクが出来るからです。但し本人にリーダーシップがあることが条件ですが。そして改革の機会を一度逃すと次のチャンスはすぐには訪れないことも肝に銘じるべきかも知れません。皆様のお考えをお聞かせください。
(鶴見)

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