アクロス・アソシエイツ・コンサルタンツ

Thursday 11 February 2010

トヨタのリコール問題で想うこと

車の品質には絶対の信頼を持たれていたトヨタ車のリコール問題がショッキングなニュースとして報道されました。最新型で売上のトップにランクされしかも技術的にも最先端をゆくエコカーであったことが一層市場に動揺をもたらしました。しかもリコール決定の発表とトップの謝罪が後手に回ったことが何とも企業イメージを悪くしました。この理由は色々あるでしょうが、自分なりに日本企業に内在するある問題点を指摘したいと思います。

メーカーには設計部、製造部、品質部門、などがありこれ等の部門はそれぞれ独立しています。品質の問題が起こった時通常はそれが設計に原因があるのか、製造に問題があるのかまたは部品不良なのか等が明確に判断されます。品質部門は品質に問題があれば当然出荷を許さない権限を持っています。設計部や製造部がいかに苦労して作った製品でも検査部門が不合格と認定すれば出荷停止です。今回の場合は原因がコンピューターソフトの微妙な設定条件の問題で最終的には設計ミスと判断されましたが、品質部門は最後まで不良品と判定しなかったような印象を受けます。

さて一般的に日本企業の強みは所属を越えるチームワークと言われています。部門の壁を越えるチームワークでお互いに協力しながら問題を解決します。自分の仕事の責任範囲がクリアーに規定され、その枠内だけで働く欧米型とは違います。欧米で仕事をすると問題が起こった時に「これは自分の(部の)責任ではない。悪いのはあちらの部」というローカルの人の言い分に違和感を持たれた経験がある方も多いかと思います。確かにその人(部)の直接的な責任ではないかも知れませんが、両者が協力し合えば未然に防げた問題かもしれません。仕事の効率は別にしても日本企業では大まかなjob descriptionとチームワークのお陰で問題が未然に防がれるケースもあるように思います。

しかし他方でトヨタのケースのように、それが設計ミスかそうでないのか微妙な判定をめぐるトラブルが発生した時に責任の所在が明白になるのかが問題です。端的に言えば設計部と検査部門が“おんぶにだっこ”状態ではなかったのか?お互いに協力し合う仕事のやり方は一つ間違えると責任の所在が不明確になりアクションが遅れる可能性があるのではないか?日本企業の強みがひとつ間違えると弱みにもなるリスクがあるということです。日本型、欧米型どちらにしても完璧なシステムではありません。今回のトヨタのリコールと日本企業に内在する問題点に直接的な因果関係があるかは不明です。しかし、この機に今一度社内のシステムを点検してみませんか?皆様のお考えをお聞かせ下さい。
(鶴見)

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